焼酎かすリサイクルプラントの増設工事を開始しました。
焼酎かすリサイクルプラントの増設工事を開始しました。
プレスリリース(2006.10.24発表)
プレスリリース
平成18年10月24日
有限会社サンケイ工業
弊社(有限会社サンケイ工業、本社:鹿屋市新川町5503番地、代表取締役社長:村上潤)では、このたび、平成18年度環境にやさしい農業総合推進事業(バイオマスの環づくり交付金)の採択を受け、焼酎かすのリサイクルプラント設備を、現在の2倍の規模に拡張することとなりました。
焼酎を製造する際に発生する焼酎かすは、酸性を示す液体状の廃棄物で、その発生量は、鹿児島県内で1年間に48万トンにものぼります。
焼酎かすの性質として、非常に高濃度の有機排水であること、腐敗が非常に速く長期保管が出来ないために即時処理が求められることから、取扱いや処理には困難が伴います。
しかし、その処理の約3分の1を担っていた海洋投棄が、ロンドン条約の締結により来年から規制される見込みで、陸上処理容量の確保が課題となっています。
弊社では、5年前からこの課題に取り組んできました。酒造メーカーや鹿児島県工業技術センター等の協力を得ながら検討を進め、鹿児島大学工学部海洋土木工学科松本進教授とは3年間の共同研究を通して、基礎技術の検討やリサイクル品の性能確認を行いました。また、試験プラントの設置に際しては、経済産業省の平成14年度創造技術研究開発費補助金を受け、リサイクル技術の確認を行いました。
これらの成果として、焼酎かすを資源として有効活用し、緑化資材や育苗培土といった付加価値の高い製品としてリサイクルする技術を開発しました。技術の概要としては、焼酎かすを微生物で発酵させ、発酵熱によって焼酎かすの95%を占める水分を蒸発させます。残った固形分も微生物が分解し、植物の生育に適した資材として製品化します。
現在のリサイクルプラントは、平成17年2月より焼酎かすの受入・リサイクルを開始しました。このプラントは1日に30トンの焼酎かすを発酵・蒸発させる能力があり、操業開始から1年8か月、騒音や悪臭の発生もなく、順調に稼動しています。これまでの受入量は、本年11月上旬には累計10,000トンに到達しようとしています。
また、昨年12月より、リサイクル製品である緑化資材・育苗培土の販売も開始しています。初期生育が良好で、根張りが良くなるという特長があり、育苗培土・土壌改良材としてはピーマンやイチゴ等の近隣農家を中心に、緑化資材としては張芝用の基盤材として使用していただいています。
今年は、垂水市の酒造メーカーの協力のもと、焼酎かすをリサイクルしてできた弊社製品でサツマイモを栽培し、再び焼酎を作るという、資源循環の試みを行っています。先日仕込みを行いましたが、杜氏さんからは、非常に良い芋ができているというお褒めの言葉をいただきました。この焼酎は来月には出来上がる見込みです。
このように、弊社のリサイクル技術を実プラント規模で実証し、1年以上にわたって安定的に稼動した実績を受け、平成18年度環境にやさしい農業総合推進事業(バイオマスの環づくり交付金)に採択され、今回のリサイクルプラント増設にこぎつけました。
本日は地鎮祭を行い、今月末より工事着工の予定で、今年度内の完成を目指します。今回の増設工事によって、焼酎かすの発酵・蒸発能力は現在の2倍の、1日に60トンに拡大されます。また、リサイクル製品である緑化製品・育苗培土の生産・販売体制も増強します。袋詰め製品の販売も近々開始する予定で、販路も順次拡大していく予定です。
この緑化製品は、良好な生育を促すことに加えて非常に軽量であることから、屋上緑化用の資材としても適した製品であり、都心部へ向けた付加価値の高い製品としての販売も進めていきます。
これらの活動によって、地域の資源を有効活用し、循環型社会の形成に少しでも貢献することができるよう、今後も努力してまいります。
※「焼酎かす」の表記を修正(H.18.11.4)